この度、第22回腎と妊娠研究会を担当させていただくことになり、大変光栄に思っております。
本研究会は1991年、妊娠中に発症する妊娠高血圧症候群(PIH)や腎疾患を合併した妊産婦の適切な治療管理など、診療科を超えて研究発表・討論する研究会として発足しました。今日PIHの原因としては、胎盤形成時の血管新生に伴う絨毛細胞の役割や可溶性の血管内皮細胞成長因子受容体(sFlt-1)の意義などが報告され、PIHに関する病態生理の理解が進んでいますが、未だ完全には解明されておりません。一方、IgA腎症などの慢性腎疾患や移植医療の進歩による腎移植後の妊娠例、さらには時代とともに増加している高齢女性の妊娠など、腎臓専門医と産婦人科が協力して「新たな命の誕生」にチャレンジする機会は確実に増えており、本研究会の持つ意義は非常に大きいと考えております。
今回はこうした趨勢を鑑み、テーマとして「毛細血管およびmicrocirculationを極める!:分子レベルから腎・子宮・胎盤系までの新たな視点」といたしました。これは、多くの妊娠が正常に推移しているのは、それを維持している毛細血管網とmicrocirculationの絶妙なバランスに依存していることを改めて認識してみたいという意味も含まれております。
特別講演には、協和発酵キリン バイオ医薬研究所の大島 毅先生に「液性因子の高率生体内機能スクリーニング法」の講演をお願いしました。内容としては遺伝子改変動物を使用し、Flt-1等の可溶性受容体やたんぱく質に関する新規高率解析法であります。これは本講座が参加しているJBiC/NEDOプロジェクトの素晴らしい研究成果ですが、企業内の知的財産権のこともあり、おそらくは本邦で初めての公開講演と思われます。教育講演では防衛医大腎臓内科の熊谷裕生先生にPIHの治療と病態基盤を腎臓内科のお立場でお話いただきます。さらにイブニングセミナーとして、注目されている「臍帯血治療」について、埼玉県立小児医療センター未熟児新生児科部長の清水正樹先生に血管新生を含む最新情報をご講演いただく予定です。
今日、我が国には未だ震災の影響が残っておりますが、この第22回腎と妊娠研究会を、ぜひ活発な討論と先生方の研究発表の場としていただき、特に若手医師の育成および研究・臨床の発展のお役に立てれば望外の喜びであります。皆様からの多くの演題とご参加を心よりお願い申し上げます。
第22回腎と妊娠研究会
会長 古谷 健一
(防衛医科大学校 産科婦人科学講座教授) |